【映画レビュー】僕と世界の方程式(ネタバレ・感想)

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自閉症と診断された男の子、ネイサンの物語。「この子は特別な病気の子なんだ」と思わず、「みんな誰しもこんな状況に陥っているのではないか」と思いながら見ていました。

観終わった後は、うーんとどういうこと?となりましたが、自分なりに解釈してみました。

 

その前に!!言いたい!!主演を務めた男の子の可愛らしさを。笑

エイサー・バターフィールド君は、「ヒューゴの不思議な発明」や「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」にも出演していますが、きれいなブルーの瞳に守りたくなるような頼りない雰囲気、あの困り顔は、なんともいえない愛らしさがあり、見る人を惹きつけますね~。

ネイサンとお父さんと事故

幼少期に、病気のことを知ってからのお父さんは、ネイサンの強い味方だったのはどのシーンを見てもそう思いますし、ネイサンのお父さんへの思いは計り知れないです。

お父さんの、ネイサンへの言葉で、

  

「君には特別な能力がある。これから周りに何を言われたって、変える必要はないよ」

 

と一生懸命に伝えていたのが印象的でした。

どんな子供、大人にだって言えることだなと。ただ、この「能力」、終盤になるにつれて、一般的な「ほかの人には出来ない、持っていない特別な力」とは違った意味に変わってきます。ぜひ、最後まで読んでいただきたいです!

 

こんなにもネイサンに愛情を注いで、ネイサンを独りにさせないように一生懸命に、”生きることの前向きさ”を教えていたお父さん。

突然にも、まだ小さいネイサンを助手席に乗せた車を運転中に、信号無視で交差点に進入してきたトラックに追突され、命を落としました。

 

不慮の事故から、ネイサンは心を閉ざしてしまいます。車の助手席を嫌うようになります。特に、一番身近にいるお母さんジュリーへの態度は、冷めきっていて関わりを極力避けているのが分かります。

過去の回想シーンでも、ネイサンの強い味方で陽気なお父さんに比べ、心配性で物静かなお母さんへの感情は、どことなく冷めていて、昔から、仲の良い母と息子ではなかったんだなと感じます。

数学教師マーティンとの出会い

ギクシャクした親子関係のなか、ネイサンの特別な能力と思われる数学の才能を発揮します。

 

母ジュリーは、ネイサンの才能をなんとか活かしてあげたいと、高校へ連れていきます。そこで、数学オリンピックに選抜されたマーティンと、ネイサンは出会います。

この親子にとってマーティンとの出会いは、前に進めることができた特別な存在だったなと思います。ネイサン数学オリンピックを目指し母ジュリー心のよりどころを見つけるようになっていくからです。

 

また、マーティンも、数学オリンピックで結果を出せなかった過去があります。また、体が固まってしまう硬化症が、自暴自棄を起こし、未来を考える力をなくさせていました。しかし、ネイサンを数学オリンピックに出させたい気持ちやジュリーとの出会いにより、前向きに変わっていく姿がすごく良かったです。表情も最初のシーンとは別人なくらい優しくなり、変化が良く分かりました。

 

なんといっても、ジュリーとマーティンのくっつくかくっつかないかの微妙な感情が、画面越しに良く伝わってきていて、もどかしくも切ない大人な恋をのぞいている気持ちになりました。

合宿・チャン・メイとの出会い

そんなこんなで、マーティンの教えも良かったのか、ネイサンは無事、数学オリンピック選抜組に入ることになり、お母さんと離れて合宿へ参加することに。合宿では、最終的にオリンピックに参加できる人を絞ります。それは、競争相手が近くにいるということで、ネイサンの不安感、ネガティブな感情は強まります。

最初は、みんな仲良しな雰囲気で、今まで変人扱いされてきた人も、ここではそれが普通なのよ」と。

 

 

この合宿では、台湾が合宿の場所です。台湾をよく知る中国の選抜組と2人1組で行動をすることになります。そこで出会うのがチャン・メイ

チャン・メイは、すごく明るく無邪気な女の子で、人とのコミュニケーションと接触が苦手なネイサンとの距離を縮めていて、ポジティブさなのか、それこそ「能力」の持ち主なのか。年頃の二人の距離感の初々しさは、ほほえましかったです。

 

 

よくよく思い出してみると、チャン・メイとお父さんは似ているな~

ネイサンの強すぎるこだわりに気にせず解決してくれるところや、ちょっとした言動でネイサンを笑顔にしてくれるところも、ネイサンには必要な人、出会うべくして出会う人だったのかなと思います。

 

様々な人間関係の中(ここでは触れませんが)、なんとかネイサンが代表6人の1人に選ばれ、合宿は終わりを迎えます。もちろんチャン・メイも中国の代表に選ばれました。

ネイサンの心の変化

チャン・メイに好意を持ち始めるネイサン。チャン・メイも露骨にアピールしていましたね。ちょっとやりすぎ?とも思ってしまいましたが。笑

 

数学オリンピックの決まりなのか、ペアになった相手を、自宅に泊めるようで、チャン・メイはネイサンの実家に。

 

ネイサンは強いこだわりにより、母ジュリーとマーティンの勝手な行動に帰宅後そうそう部屋にこもってしまいます。そこでの母ジュリーの言葉がネイサンにささります。

「チャン・メイのこと好き?アイスよりも好き?(アイはネイサンの大好物)数学よりもすき?」

〈数学の方が好きだと言い張るネイサン。母ジュリーになぜそんなに構うのか聞く〉

「それは、ネイサンがアイスよりも好きだからよ」

理論的に物事を考えるネイサンからしたら、なんとなく伝わりやすい例えだったんでしょうか。その後、愛の方程式をインターネットで調べている姿がなんとも可愛らしかったですね~。

チャン・メイが泊まりにきてから、ネイサンの心に変化が表れてきます

 

 

そして事件は起こります。

オリンピック当日、お互いに好意のある関係だと認識したばかりでしたが、チャン・メイが代表を放棄して帰ることに。

別れ際に「わたしはネイサンを嫌いになったから、ここを離れるのではない」と伝えます。これは結構大事な言葉だったと思います。

 

チャン・メイがいなくなっても、ネイサンは数学オリンピックに挑みます。問題を解こうとします。が、、、。

 

しかし、急に立ち上がるネイサン。会場を出て行ってしまいます。

「君にしかない特別な能力」(まとめ)

ネイサンが会場を飛び出し、追いかける母ジュリー。スタッフとして来ていたマーティンがネイサンを追いかける教官を引き留めたシーンは、胸が熱くなりました。

母ジュリーは、落ち込んだ様子のネイサンを街中で見つけます。

 

ネイサンの質問に答える母ジュリーの言葉が素敵でした。

「好きになることは良いことよね?」

「あなたの中にある、何かをみているの」

「そのひとにとって、価値のあるなにかを」  と。

  

この物語の核心はこれかな?と思います。

愛がテーマの映画でしたが、つまりは、お父さんの言っていた能力は「自分にしかできない特別な力」ではなく、「特別なひとのためにある、自分の能力」なんだと思います。それは自分で気づくというより、相手に見つけてもらうんじゃないかな~。

 

誰かと能力を比べて、不安にならないで。

君にしかないできない、(愛する)人を喜ばせる能力があるよ。

 

と、そう受け止めました。気づけば、ネイサンが否定していた運命は、すでに方程式があって、チャン・メイに出会わせたんじゃないのかな~。それが、世界の方程式なのかな?

 

人を愛することで、愛してくれていた母親の気持ちを理解し始めたネイサンに、感動しました。

 

まあ、数学オリンピックの試験には、ちゃんと出て欲しかった気持ちもありますが。

あと、合宿組で1人除け者にされていた彼にも、いつか自分の能力(数学と限らず)を必要としてくれる人に出会ってほしいです。マーティンみたいに、いつか。

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